2026年4月29日
「顔が赤くなりやすい」「鼻や頬のほてりがなかなか引かない」「ニキビのようなブツブツが繰り返す」そんなお悩みを抱えている方は、もしかしたら酒さ(しゅさ)かもしれません。酒さは、顔面に慢性的な赤みや炎症が生じる皮膚疾患です。「お酒を飲むから顔が赤い」「体質だから仕方ない」と諦めている方も多いのですが、適切な治療とスキンケアによって症状をコントロールすることができます。

酒さ(しゅさ)とは?
「顔が赤い」「ほてりがなかなか引かない」そんな症状が長く続いている場合、酒さかもしれません。
酒さとは、鼻・頬・額・あごなど顔の中心部に、赤みやほてり、ブツブツが慢性的に現れる皮膚疾患です。「お酒を飲むから赤くなる」「体質だから仕方ない」と思い込んでいる方も多いのですが、酒さはれっきとした皮膚の病気です。
酒さの基本的な特徴
| 項目 | 内容 |
| 別名 | 酒皶(しゅさ)、ロザセア |
| 発症しやすい年代 | 30〜50代 |
| 性別の傾向 | 女性に多い(男性にも発症する) |
| 有病率 | 世界の成人の約5〜6% |
どんな症状が出るの?
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顔の赤みやほてりが長く続く
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症状が落ち着いたり、再び悪化したりを繰り返す
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ニキビに似たブツブツが出ることがあるが、毛穴の詰まりは伴わない
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化粧品や温度変化でヒリヒリしやすい
酒さは「顔が赤くなりやすい体質」と片付けられがちですが、放置すると症状が慢性化することがあります。気になる方は、早めに皮膚科を受診することをお勧めします。
赤ら顔との違い・酒さの種類
「赤ら顔」は顔が赤く見える状態の総称であり、酒さはその原因のひとつです。
アトピー性皮膚炎や膠原病(こうげんびょう)など、他の疾患が原因のこともあるため、自己判断せず皮膚科での診断が重要です。
酒さの4つのタイプ
日本皮膚科学会ガイドライン(2023年)では、以下の4型に分類されています。
| タイプ | 主な症状 |
| 紅斑毛細血管拡張型 | 持続的な赤み・血管が透けて見える |
| 丘疹膿疱型 | 赤い盛り上がり・膿を持ったブツブツ |
| 瘤腫型・鼻瘤 | 鼻周辺の皮膚が厚くなりこぶ状に変化 |
| 眼型 | まぶたの赤み・充血・異物感 |
複数のタイプが同時に現れることもあります。目の症状が皮膚より先に出る場合もあるため、注意が必要です。
酒さの原因と悪化させるもの

酒さの原因は、まだはっきりとわかっていません。ひとつの原因ではなく、いくつかの要因が重なって発症すると考えられています。
考えられている主な原因
| 要因 | わかりやすく言うと |
| 皮膚のバリア機能の低下 | 肌を守る力が弱まり、外からの刺激に敏感になっている状態 |
| 免疫の過剰反応 | 体を守る仕組みが過剰に働きすぎて、炎症を起こしてしまう |
| 顔ダニ(デモデックス)の増殖 | 異常に増え、炎症を引き起こす一因になると考えられています |
| 顔の血管の問題 | 顔の血管がうまく収縮できなくなり、赤みが続きやすくなる |
| 遺伝的な体質 | 家族に酒さの方がいると、発症しやすい傾向がある |
症状を悪化させる主なきっかけ
「最近ひどくなった」と感じるとき、日常生活の中に原因が隠れていることがあります。
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強い日差しや急激な温度変化(暑い・寒い場所への移動など)
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アルコール・辛い食べ物・熱い飲み物
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精神的なストレスや疲労
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長時間のマスク着用
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刺激の強い洗顔料や化粧品の使用
悪化のきっかけは人によって異なります。「これをしたあとに赤くなりやすい」と気づくことが、症状を上手にコントロールする第一歩です。
受診の目安について
「これくらいなら大丈夫かな」と様子を見ているうちに、症状が慢性化してしまうケースは少なくありません。以下に当てはまる方は、早めに皮膚科を受診することをお勧めします。
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顔の赤みやほてりが1か月以上続いている
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市販薬を使っても改善しない、またはぶり返す
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ニキビのようなブツブツが繰り返し出る
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化粧品や洗顔料がしみてヒリヒリする
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まぶたの赤みや目の充血・異物感がある
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症状が気になって外出や人との交流が億劫になっている
受診を迷っている方へ
酒さは見た目の変化が大きいため、精神的なつらさを感じている方も多くいます。「たかが赤み」と我慢せず、気になった時点で一度ご相談ください。
また、自己判断でステロイド外用薬(炎症を抑える塗り薬)を長期間使用すると、「ステロイド酒さ」と呼ばれる状態になり、症状がかえって悪化することがあります。市販薬の使用には十分な注意が必要です。
治療について
酒さは完全に治る病気ではありませんが、適切な治療とスキンケアによって症状をコントロールすることができます。治療は大きく3つに分けられます。
①悪化因子の除去
まず取り組むべきは、症状を悪化させる原因を特定し、できる限り避けることです。紫外線対策・食生活の見直し・ストレス管理など、日常生活の改善が治療の土台になります。
②スキンケア
どのタイプの酒さにも、スキンケアは欠かせません。
| ポイント | 内容 |
| 洗顔 | 低刺激性の洗顔料を使い、ぬるま湯で優しく洗う。こすらない |
| 保湿 | 低刺激性の保湿剤でしっかり保湿し、肌のバリア機能を整える |
| 紫外線対策 | 日焼け止めを毎日使用する。紫外線は大きな悪化因子のひとつ |
| クレンジング | 摩擦を避けるため、拭き取りタイプではなく洗い流すタイプを選ぶ |
③医療機関での治療
症状のタイプや重症度に応じて、以下の治療が行われます。
| 治療法 | 内容 |
| 外用薬 | メトロニダゾールゲル(保険適用)などを使用する。炎症を抑える |
| 内服薬 | 抗生物質(ドキシサイクリンなど)で炎症を抑える |
| レーザー・光治療 | 拡張した毛細血管に作用し、赤みを改善する。自費診療 |
症状に合わせた治療法を選ぶことが大切です。自己判断で市販薬を使い続けることは避け、皮膚科専門医にご相談ください。
よくある質問
うつりません。酒さは皮膚の慢性的な炎症疾患であり、細菌やウイルスによる感染症ではないため、人にうつる心配はありません。
症状が軽い場合は、低刺激性の化粧品であれば使用できます。ただし炎症が強い時期は、化粧品の刺激で悪化することがあります。クレンジングは摩擦を避け、洗い流すタイプを選ぶようにしましょう。
酒さは主に30〜50代に多い疾患ですが、まれに若い方や子どもにも発症することがあります。顔の赤みが続く場合は、年齢にかかわらず皮膚科を受診することをお勧めします。
