2025年10月22日
ニキビと粉瘤は、どちらも皮膚にできる「できもの」ですが、全く異なる症状です。
見た目では似ていても、原因・治療法・放置した場合のリスクが大きく異なるため、正確な診断が重要です。
当院には患者様から「これはニキビですか?粉瘤ですか?」というご質問をよくお受けします。
この記事では、ニキビと粉瘤の違いや、自分で見分けるポイントや適切な治療方法についてご説明いたします。

ニキビと粉瘤の違いとは?
ニキビと粉瘤は、皮膚にできるできものという点では共通していますが、医学的には全く異なる疾患です。
ニキビは皮脂腺が炎症を起こす一時的な炎症性疾患であり、数週間~数ヶ月で自然に治癒することもあります。
一方、粉瘤は皮膚の下に袋状の構造ができ、その中に角質や皮脂が蓄積する嚢胞性疾患で、自然治癒することはなく、処置が必要です。
このような根本的な違いがあるため、治療方法も全く異なります。
ニキビは外用薬や内服薬、生活習慣の改善で対応できる場合が多いのに対し、粉瘤は手術による摘出が根治治療となります。
どちらの症状かを正確に判断することは、適切な治療選択と治療期間の短縮につながる非常に重要なポイントです。
ニキビと粉瘤の見た目・症状の違い
| 項目 | ニキビ | 粉瘤 |
| 大きさ | 数ミリ~1センチ程度 | 数ミリから数センチ(年々拡大する傾向) |
| 色 | 赤色、黄色、黒色など炎症の状態で変化 | 肌色~白色(中央に黒い点が見える場合あり) |
| 形状 | 表面がザラザラで不規則 | 円形で盛り上がっている |
| 痛み | 炎症時に痛みや違和感がある | 通常は無症状(感染すると腫れて痛む) |
| 触った感触 | 表面的で柔らかい | 硬くしこりのような感覚や、弾力がある場合など様々 |
| 経過 | 数週間~数ヶ月で消えることもある | 放置すると大きくなり続け、異物反応を起こすと炎症が起き痛みを伴う |
ニキビと粉瘤の原因の違い
ニキビの原因
ニキビは皮脂腺から分泌される皮脂が、毛穴の中で詰まることが主な原因です。
詰まった毛穴の中にアクネ菌が増殖し、炎症を起こします。
ニキビができやすい要因には、ホルモンバランスの変化、不規則な生活習慣、偏った食生活、ストレス、不十分なスキンケアなどが挙げられます。
思春期に多く見られるのは、男性ホルモンの増加により皮脂分泌が活発になるためです。
大人ニキビは、ストレスやホルモン変動、メイクやマスクによる肌への刺激が主な原因となることが多いです。
粉瘤の原因
粉瘤は、皮膚の下の真皮層に袋状の構造ができ、その中に古い角質や皮脂が蓄積することで生じます。
原因は完全にはわかっていませんが、皮膚の内側に上皮細胞が迷入することが関係していると考えられています。
遺伝的素因、外傷や炎症、ホルモンバランスの変化などが関連する可能性があります。
重要な点は、粉瘤は生活習慣やスキンケアでは予防できず、一度形成されると自然には消えないということです。
放置するとどうなる?危険性と悪化のサイン
ニキビを放置した場合
ニキビを放置または不適切にいじると、炎症が進行し、跡が残る可能性があります。
特に赤ニキビや化膿したニキビを潰すと、クレーター状の凹みや赤紫色の色素沈着、ケロイドといった赤いしこりが生じることがあります。
また、繰り返しニキビができることで、肌質が悪化し、より一層ニキビができやすい状態になる悪循環に陥ります。
粉瘤を放置した場合
粉瘤は放置すると、徐々に大きくなり続けます。
数年かけて数センチまで拡大することも珍しくありません。
中に含まれるものが古い角質や皮脂のため、触ったり洋服に独特な悪臭に気づくことがあります。
さらに危険なのは、急性炎症を起こす可能性です。
炎症を起こすと赤く腫れ、膿が溜まり、強い痛みを伴います。
この状態になると、日常生活に支障が出ることが多く、緊急で切開する必要があります。
粉瘤が炎症を起こす原因は、細菌感染と異物反応の二つがあります。
粉瘤の内容物は細菌が増えやすい環境にあり、粉瘤内で細菌が増殖を起こして過剰な免疫反応が引き起り、炎症となります。
また、粉瘤の内容物や壁に対する異物反応として免疫反応が起こり、炎症が引き起こされます。
悪化のサイン
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急激な腫れ、発赤、熱感がある
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膿や異臭が出ている
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激しい痛みを伴っている
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サイズが急速に拡大している
どちらの原因でも、粉瘤という異物があると炎症が軽快しづらく、抗生物質の内服では痛みや腫れが改善せずに、膿が溜まって破裂してしまう場合も多くあります。
また、背中や頭皮など目立たない場所にできた粉瘤は、気付かないまま大きくなり、最終的に見た目の問題だけでなく、感染による全身症状を引き起こす可能性もあります。
自分で見分けるチェックポイント
判断が難しい場合には、必ず皮膚科医の診察を受けてください。
自己判断で対応すると、治療が遅れたり、症状が悪化したりするリスクがあります。
ニキビの可能性が高い場合
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数週間から数ヶ月で自然に消えた
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赤く腫れたり、膿を持ったり、色が変化している
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Tゾーン(額・鼻・顎)や頬など、複数の場所にできている
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触ると柔らかく、表面的な感覚がある
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ホルモンバランスの変化や生活習慣の乱れと時期が一致している
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思春期や生理前後に多く発症する
粉瘤の可能性が高い場合
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数年間消えずに存在している
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肌色~白色で、色の変化がほぼない
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中央に黒い点(開口部)が見える
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触ると硬く、しこりのような感覚がある
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同じ場所に繰り返し再発している
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サイズが少しずつ大きくなっている傾向がある
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炎症がない限り、症状がない状態が続いている
よくある質問
はい、あります。
ニキビは皮脂分泌が活発な部位にできやすく、粉瘤は皮膚のどこにでもできる可能性があるため、同じ人に両者が共存することもあります。
その場合、それぞれ異なる治療アプローチが必要になりますので、皮膚科での正確な診断が重要です。
潰すことは避けてください。
自分で潰すと、感染のリスクが急激に高まり、炎症が悪化します。
潰しても粉瘤の袋まで全て排出できることはほぼなく、内容物のみ押し出して、粉瘤の袋が残っているため、いずれ大きくなってきます。
また、押したりいじることで粉瘤の袋が癒着し、くりぬき法など低侵襲な手術が困難になることがあります。
必ず医師の指導下で適切に処置してください。
いいえ、治りません。
粉瘤は皮膚の深い層にある袋状構造のため、外用薬では到達できません。
根治治療には手術による摘出が必須です。
局所麻酔を使用するため、手術中の痛みはほぼ感じません。
ただし、麻酔注射時に軽い痛みを感じることはあります。
術後の違和感や軽い痛みは数日で改善します。
完全には消えない場合もありますが、当院では複数の治療法(ケミカルピーリング、IPL、レーザーなど)でニキビ跡の改善を図ります。
早期の受診と適切な治療により、改善の可能性は高まります。
東京でのニキビ跡治療、粉瘤の治療はご相談ください
ニキビと粉瘤は、見た目は似ていても、原因・治療法・予後が大きく異なる疾患です。
正確な診断と適切な治療を受けることが、症状の改善と合併症の予防に直結します。
花小金井駅前スキンクリニックでは、丁寧な診察と、患者様それぞれのお肌の状態に合わせた個別の治療プランをご提案しております。
ニキビでお悩みの方には、外用薬・内服薬の処方から、必要に応じてレーザー治療やケミカルピーリングなどの最新治療も対応いたします。
粉瘤でお悩みの方には、日帰り手術による根治治療をご用意しており、傷跡を最小限に抑える工夫も行っております。


