2025年10月07日
大人になってから突然アトピーを発症する方は少なくありません。子どもの頃に落ち着い
ていた症状が再び現れるケースや、社会人になってから初めて発症する方もいます。生活
習慣やストレス、環境の変化などが影響することも多く、なかなか自己判断では改善が難
しいのが特徴です。
この記事では、大人のアトピーの原因や症状、治療法、日常生活での工夫について、皮膚
科医の視点からわかりやすく解説します。

大人になってからアトピーを発症することはある?
大人になってからアトピーを発症することは十分にあります。
アトピー性皮膚炎は一般的に小児期に多い病気ですが、成人してから初めて症状が出る方や、子どもの頃に改善していた症状が再発する方も少なくありません。
特に社会人になってからの生活習慣の乱れや、仕事・人間関係によるストレス、睡眠不足、食生活の偏りなどが関与すると考えられています。
また、アトピーは「かゆみを伴う湿疹」が慢性的に繰り返されるのが特徴です。
成人の発症では顔や首、手足など目立つ部位に出ることが多く、生活の質を大きく損なう原因となります。大人になって発症した場合、原因が複雑に絡み合っていることが多いため、皮膚科での正確な診断と適切な治療が重要です。
大人のアトピーの主な原因

大人のアトピーは、複数の要因が重なり合って発症・悪化することが多いのが特徴です。
子どもと比べて生活習慣や社会環境の影響を強く受けるため、以下のような原因が考えられます。
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ストレスや生活習慣の乱れ
仕事や人間関係によるストレス、睡眠不足、過労は免疫バランスを崩し、皮膚の炎症を悪化させます。 -
食生活の影響
偏った食事や過度のアルコール、添加物の多い食品は肌のバリア機能を弱める要因になります。 -
環境因子
花粉やダニ、ホコリ、ペットの毛などのアレルゲンが刺激となり、発症や悪化を招くことがあります。 -
肌の乾燥
加齢や空調による乾燥は、皮膚バリアを弱め、かゆみや炎症を起こしやすくします。
大人のアトピーは「体質だけではなく環境や生活習慣の影響」が大きく関与しているため、原因を適切に診断し治療とケアを行うことが大切です。
大人のアトピーに多い症状・特徴
大人のアトピーは、子どもに比べて症状が長引きやすく、重症化しやすい傾向があります。
また、治りにくく、再発しやすいという特徴を持ち、見た目や生活の質に大きな影響を与えます。早期に専門的な治療を行うことで、症状を軽減しコントロールしやすくなります。
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かゆみを伴う湿疹
顔、首、手足など目立つ部位に出やすく、強いかゆみを伴います。 -
慢性的に続く皮膚炎
一時的に改善しても、ストレスや体調不良で再び悪化しやすいのが特徴です。 -
皮膚の乾燥やゴワつき
肌のバリア機能が低下することで、乾燥や厚みのあるゴワゴワした皮膚になります。 -
色素沈着や痕が残りやすい
かき壊すことで赤みや黒ずみが長引き、見た目の悩みにつながります。 -
感染症の合併
掻き傷から細菌感染を起こし、膿やかさぶたを伴うこともあります。
花小金井駅前スキンクリニックで行うアトピー治療
当院では、大人のアトピーに対して患者様一人ひとりの症状や生活背景に合わせたアドバイスと、最新のエビデンスに基づいた標準治療を中心に行っています。
大人のアトピーは要因が複雑で長期化しやすいため、適切な診断と治療が必要です。
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外用薬治療
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内服薬治療
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紫外線治療
エキシマライトによる紫外線治療を行っています。 -
注射薬治療
当院では注射薬のデュピクセントの導入、処方を行っております。 -
生活習慣へのアドバイス
大人のアトピーは根気よく治療を継続することが重要です。
当院では丁寧なカウンセリングを行い、患者様が安心して治療を続けられる体制を整えています。
自宅でできるケアと日常生活の改善
大人のアトピーは、病院での治療に加えて日常生活での工夫が症状の安定に大きく関わります。
ちょっとした習慣の見直しが、かゆみや炎症の軽減につながります。
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保湿を徹底する
入浴後5分以内に保湿剤を塗り、乾燥から肌を守りましょう。 -
入浴・シャワーの工夫
熱すぎるお湯は避け、石けんは低刺激のものを選び、ゴシゴシ洗わないことが大切です。 -
衣類の工夫
肌にやさしい綿素材を選び、化学繊維やウールなど刺激になる素材は避けましょう。 -
睡眠と生活リズム
十分な睡眠と規則正しい生活は、免疫バランスを整える効果があります。 -
ストレスケア
趣味やリラックス法を取り入れることで、心身の安定を図ります。
大人のアトピーは治る?
大人のアトピーは「完全に治る」というよりも「症状をコントロールしながら上手に付き合う病気」と考えるのが一般的です。
小児期と異なり、大人では症状が慢性化しやすく、長期的に炎症やかゆみを繰り返すことがあります。
しかし、適切な治療と生活習慣の改善によって症状を大きく抑えることは可能です。
特に近年は外用薬や内服薬の選択肢が増え、重症例に対しても生物学的製剤など新しい治療法が導入されています。これにより、以前よりも症状の安定が期待できるようになっています。
大切なのは「自己判断で治療をやめないこと」です。
症状が落ち着いても急に薬を中止すると再燃しやすいため、医師の指導のもとでコントロールを続けることが重要です。大人のアトピーは、適切に対応すれば生活に支障のないレベルまで改善できる病気です。
よくある質問
はい。子どもの頃に症状がなかった方でも、生活習慣やストレス、環境要因の影響で成人してから発症するケースがあります。
完全に治すのは難しいですが、治療を続けることで症状をコントロールし、生活に支障がない状態を維持することは可能です。
ステロイドの不適切な長期連用や、過度に強すぎるステロイドの使用は、副作用がでるこ
とがありますので、医師の指導のもと、使用期間や使用するステロイドの種類を正しく使っていただくことが大切です。
偏食を避け、栄養バランスを整えることが大切です。アルコールや添加物の多い食品は悪化因子となる場合があるため注意が必要です。
市販品でも保湿効果がありますが、症状が強い場合は医師が処方する医療用保湿剤の方が
効果的です。自己判断せず医師にご相談ください。