2025年8月05日
「ついニキビを潰してしまった」「潰したくて仕方がない」そんな経験は誰しもあるのではないでしょうか。見た目の気になるニキビを自分でなんとかしようとする気持ちは自然ですが、潰してしまうと跡や炎症などのトラブルを招く原因になることもあります。
この記事では、ニキビを潰すことの是非や起こり得るリスク、正しいケア方法まで、皮膚科医の視点からわかりやすく解説します。

ニキビは潰していい?基本的な考え方
結論から言うと、基本的にはニキビを自分で潰すのはおすすめできません。
無理に潰すことで肌の奥に炎症が広がり、色素沈着やクレーター状のニキビ跡が残るリスクがあるからです。
特に、指や爪で力任せに押しつぶす行為は、肌表面だけでなく深層部分を傷つけてしまい、再発を招く原因になります。また、手指や器具に付着した細菌が傷口に入り、化膿や腫れがひどくなることも。
潰すことで起こり得るトラブルとは?
ニキビを自己判断で潰してしまうと、以下のようなさまざまなトラブルが起こる可能性があります。
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色素沈着(しみ)
炎症後にメラニンが残ることで、茶色い跡が残ってしまうことがあります。
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クレーター状のニキビ跡
皮膚の奥まで損傷が及ぶと、凹凸のある「陥没痕(かんぼつこん)」が残る可能性があります。
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化膿や腫れの悪化
潰すことで細菌が入り、膿が溜まったり炎症が強くなることがあります。
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再発しやすくなる
皮脂腺が刺激されて再び詰まりやすくなり、ニキビを繰り返す原因になります。
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傷口からの感染症
不衛生な手や器具で潰すと、思わぬ感染症やとびひを引き起こすことも。
潰してしまったニキビの正しいケア方法
うっかりニキビを潰してしまった場合は、その後のケアが非常に重要です。
間違った対応をすると、炎症や色素沈着、跡が残るリスクが高まります。以下の対処法を参考にしてください。
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流水で洗い流す
まずは清潔な水で軽く洗い、雑菌の繁殖を防ぎます。洗顔フォームやボディソープを使用し、1日2回、こすらずに優しく洗ってください。
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消毒は原則不要です
過度な消毒は皮膚への刺激になるため、消毒薬の使用はお勧めしません。洗顔フォームやボディーソープなどの泡での洗浄がおすすめです。
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触らない・擦らない
手で触れたりこすったりすると炎症が広がり、跡になりやすくなります。
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処方されたニキビ薬を塗布する。
お手元に処方されたニキビ用の抗菌外用薬があれば、清潔に洗ってから塗布します。(例;アクアチムクリーム、ダラシンTゲル、ゼビアックスローションなど)。
傷になっている部分には、ピーリング作用のある外用薬は刺激になることがあるので数日は使用を控えてください。(例;エピデュオ、ベピオ、ディフェリンなど)。
お手元に処方薬がない場合は、薬局で相談いただいて抗菌外用薬を使用していただくか、必ず清潔に洗ったうえでワセリンなどを使用し、乾かさないように保湿をしてください。 -
傷パワーパッドやニキビパッチは使用しない
感染を起こしている傷を密封することで、逆に細菌の増加を起こすことがあります。清潔に保ち、お薬を塗布するのみで十分ですが、出血がある、汗など汚れる可能性がある場合は、通気性のある絆創膏で保護することをお勧めします。
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早めに皮膚科を受診する
痛み・腫れ・化膿が強い場合は、自己判断せず医師に相談を。
やってはいけない潰し方・NG行動
ニキビを潰す際、無意識にやってしまいがちな行動の中には、肌に大きなダメージを与えるものもあります。以下のようなNG行動は、症状を悪化させたり、跡を残す原因になるため注意が必要です。
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爪で押しつぶす
爪には雑菌が多く、傷口から感染するリスクがあります。
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芯が出ていないのに無理やり潰す
白ニキビや赤ニキビなど、膿が見えていない段階で潰すと、皮膚の深部まで傷つけてしまいます。
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メイクで隠したまま潰す
ファンデーションの成分が傷口に入り、炎症や化膿を招くことがあります。
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何度も同じ箇所を潰す・触る
刺激で慢性的な炎症となり、クレーター状の跡が残ることも。
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ピンセットや針を使う
家庭用の器具での処置は不衛生かつ危険です。
潰さずに治す!自宅でできるスキンケア
ニキビは、無理に潰さずとも正しいケアを続けることで自然に治すことができます。以下のような自宅でできるスキンケアと治療法を取り入れて、肌への負担を最小限に抑えましょう。
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やさしく洗顔する
朝晩2回、低刺激の洗顔料で洗顔し、皮脂や汚れを落とします。ゴシゴシ擦るのは逆効果です。
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保湿を忘れずに
乾燥は皮脂の過剰分泌を招き、ニキビの原因になります。化粧水+乳液や保湿クリームで整えましょう。
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刺激物を避ける
香料の強い化粧品やアルコールを含むスキンケア用品は控えましょう。
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生活習慣も見直す
睡眠不足や偏った食事、ストレスはニキビの大敵です。
皮膚科での治療|安全に膿を出す「面皰圧出」とは?
「どうしても膿を出したい」「痛みを早く取りたい」という方に対して、皮膚科では面皰圧出(めんぽうあっしゅつ)という処置を行うことがあります。
面皰圧出とは?
専用の器具を使って膿や皮脂を取り除く医療行為です。処置は清潔な環境で行われ、感染リスクを最小限に抑えることができます。
面皰圧出が適しているケース
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中に膿がたまって腫れているニキビ
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自然に治りにくい大きな白ニキビ
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圧痛(押すと痛い)を伴う赤ニキビ
ニキビを繰り返さないためにできる生活習慣と予防法
ニキビは一度治っても、生活習慣やスキンケアの乱れにより再発しやすい肌トラブルです。
以下のような日常生活の見直しと予防法を意識することで、ニキビの再発を防ぐことが可能です。
ニキビ予防の生活習慣
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バランスの取れた食事
野菜・たんぱく質・ビタミンをしっかり摂取し、糖質・脂質の過剰摂取を控えましょう。
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十分な睡眠
肌の修復は睡眠中に行われます。毎日6〜7時間以上の睡眠を心がけてください。
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ストレスをためない
ホルモンバランスの乱れが皮脂分泌を促進し、ニキビを悪化させる原因になります。
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枕カバーやタオルを清潔に保つ
顔に直接触れるものは雑菌が繁殖しやすいため、こまめに交換を。
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過度な洗顔やスキンケアを避ける
刺激の強いケアは逆効果。シンプルな保湿中心のケアが基本です。
よくある質問
出血してしまった場合は、清潔なガーゼなどでやさしく押さえて止血し、消毒と保湿を行いましょう。腫れや痛みが続く場合は皮膚科を受診してください。
白い膿が見えていても、自己判断で潰すのは避けるべきです。無理に出すと周囲に炎症が広がり、ニキビ跡が残るリスクがあります。
芯が残ると再発や炎症の原因になります。無理に取ろうとせず、皮膚科で安全に処置してもらいましょう。
基本的にニキビは自然治癒を目指すべきですが、膿が溜まりすぎている場合は医師による処置(面皰圧出)で排出が必要なこともあります。
当院のニキビ治療
花小金井駅前スキンクリニックでは、保険診療・自費診療の両方に対応しており一人ひとりの肌状態に合わせたニキビ治療を行っています。
「潰して悪化した」「繰り返すニキビに悩んでいる」といったお悩みにも、医学的根拠に基づいたアプローチで対応いたします。お気軽にご相談ください。