ニキビ(尋常性ざ瘡)
ニキビは、医学用語で尋常性ざ瘡とよばれます。顔だけではなく、首、胸、背中、頭皮など皮脂の分泌が多いところによくできます。
10代の思春期におけるホルモンバランスの変化で、皮脂の分泌が増えるころからお悩みが増えてきますが、お子様にできることもありますし、昨今のマスク生活の中で、30~40代の方にもお悩みの方が増えています。
原因は、複数の因子があるため、総合的に治療していく必要があります。
大きな要因として、
- アンドロゲンホルモンによる皮脂の分泌増加
- 毛穴での角化異常による毛穴の詰まり
- アクネ桿菌の毛穴での増殖
これらが主な病態ですが、そのほかにも、遺伝、環境因子(食生活、ストレス、睡眠不足、化粧品、誤ったスキンケア方法など)が、複雑に関係しているといわれます。
治療法は、ガイドラインに沿って塗り薬と飲み薬を使うことがまず大切になります。非常に多くの方が悩まれているため、市販薬や、インターネットでニキビの誤った治療法などがたくさん流されているため、患者さんもいろいろと頑張って悩まれて受診する方が多いです。
ニキビの治療は、世界中で研究されており、新らしい薬もどんどん使えるようになっていますので、ぜひ、皮膚科でご相談ください。
ただ、ニキビは治療を始めてすぐに治る、つるつるのお肌になれるものではありません。効果がでるのは2週間程度継続して少し実感でき、しっかりとニキビができにくくなってくるのは、継続して3か月程度行った頃になります。
診察では、経過を一緒に相談しながら、生活指導やスキンケア指導も含めて、治っていく過程に寄り添っていきます。ともに頑張っていきましょう。
ニキビの外用薬
- レチノイド(ビタミンAの系統):ディフェリン
- 過酸化ベンゾイル:ベピオ
- 抗菌薬:アクアチム・ダラシン・ゼビアックス
2種類のニキビ薬を
合わせた外用薬
- デュアック:ベピオ+ダラシン
- エピデュオ:ディフェリン+ベピオ
ニキビの薬には、赤み乾燥がでる副反応や、肌質によっては合わずにかぶれを起こす場合もあります。診察で塗り方の説明や、赤みが出た時の対処法をご説明しますので、ぜひ正しいニキビ治療を行っていきましょう。
ニキビの飲み薬
抗生物質の内服
炎症が強く、赤みや痛みの強いニキビがたくさんできているときは、早めにしっかり抗生物質の内服を処方します。炎症が長引くと、ニキビ痕の赤みが残り、膿疱というおおきなニキビができてしまうと、凹んだニキビ痕になってしまいます。塗り薬の効果がしっかりでてくるまでは、抗生物質の内服を併用することをおすすめします。個人差もありますが4~8週間内服が必要となることが多いです。
漢方薬
抗生物質や塗り薬の補助的に使用します。漢方薬は、治療効果が出るのに数か月期間が必要であったり、体質やニキビの悪化している原因によって合う漢方薬が異なってきますので、効果を見ながら処方していきます。
イソトレチノインの内服
(自費治療になります)
イソトレチノインは、ビタミンA誘導体です。商品名は、アキュテイン、アクネトレント、ロアキュタンなどがあります。海外では重症ニキビに対して病院で保険適用で処方されますが、日本では保険適用ではないため、当院では自費で処方しています。皮脂腺に作用し、皮脂の分泌を抑制したり、角化異常を抑制するという、ニキビの原因そのものを治療しますので、重症反復性のニキビの方で、保険治療ではなかなか改善しなかった方にも効果が期待できます。体重や重症度にあわせて20mg~40mgを1日1回内服していただきます。
とても効果的なのですが、副作用として注意点があります。
- 妊娠、授乳中は禁忌、妊活をしている男性も禁忌となっています
- 全身の乾燥
- 肝機能障害や高脂血症
当院ではこれらの副作用を問診、採血で確認しながら処方していきますので、ご安心ください。
イボ(ウイルス性イボ、尋常性疣贅)
イボは、手足にできることの多いウイルス性のもの、顔・体・首に加齢とともに増加したり、体質的にできやすいイボなど、種類があります。イボの種類により治療がことなりますので、まず気になるイボは診察でご相談ください。早めの治療で、短期間で治療を終えることができますので、気になるときは早めにご受診ください。
尋常性疣贅
尋常性疣贅は、ヒトパピローマウイルス(HPV2型・27型・57型が主)の感染によって、主に手、足、顔面によくできます。
パピローマウイルスの種類により、ミルメシア、水いぼ、扁平疣贅などのイボがありますが、最も多いのは、いわゆる尋常性疣贅です。
治療
液体窒素を1~2週間に1回あてる治療を行います。当院では、クライオスプレーという、スプレータイプの液体窒素を使用しますので、綿棒で押し付ける痛みがなく、素早く治療が行えます。
また、痛みがどうしてもつらいお子様などには、モノクロロ酢酸という角質を溶かす塗り薬のみでのイボ治療を行っています。こちらは全く無痛ですので、通院を嫌がらずに治療ができるというメリットがあります。液体窒素に比べると時間はかかりますが、通院できずに放置してしまうよりはずっと良いです。
炭酸ガスレーザーによるイボの切除(自費治療になります)
当院では、炭酸ガスレーザーによるイボの切除手術を行います。麻酔をしたうえで、イボにレーザーを当てないように注意しながら、一回りイボより大きくくりぬきはがしていく方法です。イボにレーザーを当てないことで、無駄なイボの広がりを予防します。イボの大きさによりお値段が変わりますので、料金表または診察でご相談ください。
治療は短期間、少ない回数でできますが、レーザー後1~2週間は痛みが続くなど注意点もありますので、一度診察でご相談ください。
ヨクイニン内服
イボに対して漢方薬であるヨクイニンの内服を処方することもあります。イボに対する免疫を高めて自然治癒を促す効果がありますが、あくまで、上記治療の補助的な効果の程度とお考えください。
多発する方、なかなか何年も治らなかった方にご提案させていただきます。
水虫(足白癬)
いわゆる水虫は、白癬菌というカビ(真菌)が原因です。足の皮膚につくと足白癬、爪に感染がおこると爪白癬といいます。頻度は低いですが、体に起こった場合、それぞれ体部白癬、股部白癬などと呼びます。趾間にじゅくじゅくとした皮むけや白くふやけたようになったり、足裏に水疱が多発して強いかゆみが生じます。症状が表層の時はかゆみが全くないので、かゆくないので水虫ではない、というのは誤りです。爪に感染した場合、爪が白く濁り、もろくボロボロしてきたり、分厚くなってきます。
治療は、皮膚のみの場合は塗り薬でよくなることが多いです。再発を防ぐために2~3か月しっかり外用をしていただくのをお勧めします。
爪白癬の場合、飲み薬と塗り薬がありますが、肝機能が悪い方など、内服できない方を除いて、爪の場合は内服のほうが治癒率が圧倒的に高いため、飲み薬をお勧めしています。ただ、何らかの事情で飲み薬が飲めない方も、最近は爪の角質に浸透して効果のある爪水虫の塗り薬も保険適用で使用できますので、ぜひお気軽にご相談ください。
完全に治りきるにはいずれにしても1年以上の期間がかかることが多いですが、治療を始めると、白癬菌の数がぐっと減りますのでご家族にうつしてしまうリスクが減りますので、ぜひ治療をはじめていただければと思います。
ヘルペス
単純ヘルペスウイルス(HSV-1・HSV-2)を原因とし、顔や性器に小さな水ぶくれを多数作る病気です。有名なのは唇の周りにできる「口唇ヘルペス」、男女ともに陰部にできる「性器ヘルペス」ですが、体のどこにでもできる可能性はあります。初感染のあと、神経の中にヘルペスウイルスが潜伏感染し、発熱やストレス、疲労、日光などの刺激で免疫が低下すると、ウイルスが増えて発症します。
治療
発症から早い時点では、飲み薬がよく効きます。バルトレックス、ファムビルという抗ウイルス薬を5日間飲むことで、症状を抑えます。塗り薬も市販でありますが、飲み薬の方が効果が高いので、早めに受診することをおすすめします。
ヘルペスを頻繁に繰り返す方は、予兆(ピリピリした違和感、小さな水ぶくれなど)が出た時点で、飲み薬をすぐに飲めるように、ファムビルという飲み薬の事前処方が保険適用となっています。症状がでてもすぐにクリニックを受診できない方は、あらかじめご相談ください。
帯状疱疹
以前かかった「みずぼうそう」のウイルスが、体の中に潜伏感染しており、免疫が低下したときに発症します。免疫のさがってくる50代以上の方に多いですが、若い方の発症もまれにあります。
体の片側に、ピリピリした痛みや筋肉痛のような痛みがでることから起こります。数日のうちに、同じ側の体の部位に、赤い発疹ができ、徐々に水ぶくれが出てきます。発症して時間がたってしまうと症状が広がったり、重症化することがあるので、おかしいと思ったら早めにご受診ください。
治療
バルトレックス、ファムビル、アメナリーフという飲み薬を処方します。アメナリーフは1日1回の内服ですので、お忙しい方には飲みやすいお薬になっています。飲み薬は1週間飲み切っていただきます。症状に応じて、痛み止めの飲み薬や、神経の炎症を抑える飲み薬をあわせてお出しすることもあります。
水ぶくれや赤みには、塗り薬をお出ししますので、きれいに洗って塗り薬を塗り、ひりひりする場合は、ガーゼで保護をしてください。
帯状疱疹には、帯状疱疹後神経痛という痛みを残る後遺症が出ることがあります。発症から時間がたって飲み薬を始めた場合、重症化して痛みが長く続く場合があります。神経痛の薬も処方しますが、日常生活に支障が出るほどの痛みの場合、ペインクリニックをご紹介する場合もございます。
帯状疱疹が顔面に出た場合、Ramsay Hunt症候群(ラムゼイハント症候群)という、顔面神経麻痺などの症状が出ることがあります。また、お尻や陰部にでたときは、便秘や尿がでなくなるといった症状がでることもありますので、早めの受診をおすすめします。