
虫刺されについて
虫刺されは、蚊やブヨ、ダニなどの虫に刺されることで皮膚に起こる様々な症状のことです。
かゆみ、赤み、腫れなどが代表的な症状ですが、虫の種類や体質によっては、水ぶくれ、痛み、発熱などを伴うこともあります。
多くの虫刺されは数日で自然に治りますが、症状が重い場合や長引く場合は、適切な治療が必要となることがあります。特に、掻きむしってしまうことで症状が悪化し、細菌感染を起こしてしまうケースもあるため注意が必要です。
当院では、虫刺されの症状や原因に合わせて、適切な治療法をご提案いたします。ステロイド外用薬や抗ヒスタミン薬などを用いて、かゆみや炎症を抑える治療を行います。また、細菌感染を起こしている場合は、抗菌薬を処方いたします。
虫刺されの原因
虫刺されの原因となる虫は、主に蚊、ブヨ、ダニ、ノミ、毛虫などが挙げられます。
これらの虫は、吸血したり、毒液を注入したりすることで、皮膚に炎症を引き起こします。
- 蚊
最も一般的な虫刺されの原因です。夜間や草むらなどで活動し、吸血時に唾液を注入することでかゆみや腫れを引き起こします。 - ブヨ
渓流や森林などに生息し、日中に活動します。蚊よりも激しいかゆみや腫れ、水ぶくれを引き起こすことがあります。刺し口が大きく、時に刺された部位から出血を認めます。 - イエダニ
ネズミに寄生するイエダニによる被害が多いです。古い家屋の屋根裏や小屋など、ネズミの巣が作られやすいところで発生しやすいです。就寝中に寝室内に侵入し、衣服の中に潜り込んで吸血するため、おなかや太ももの内側など、衣服に隠れているところにかゆみを伴う赤いぶつぶつができます。 - マダニ
草むらや森などに生息し、野外のレジャーなどでマダニの被害を受けることがあります。本来は、野生動物に寄生していますが、人間が通りかかると皮膚に付着して吸血します。数日~1週間かけて吸血を続け、マダニのお腹が大きく膨らみます。吸血中のマダニを無理に引き抜こうとすると、頭の一部が皮膚に残って炎症をおこすことがあるため、気づいたら慌てて引き抜かずに病院を受診しましょう。
マダニはライム病や日本紅斑熱などの感染症を媒介することがあるため注意が必要です。 - ノミ
ペットなどに寄生し、吸血することでかゆみや発疹を引き起こします。ノミによる被害のほとんどが、ネコやイヌに寄生するネコノミによるものです。屋外では、スネや足など膝から下を集中的に刺されることが多く、赤くかゆみを伴い、しばしば水ぶくれを作ります。室内に飼っているネコやイヌに寄生している場合もあり、動物を飼っている人でかゆみを繰り返す方は、動物病院にも相談が必要です。 - 毛虫
ケムシは、蝶やガの幼虫です。すべてのケムシに毒があるわけではなく、一部の有毒な毛をもっているケムシに触れた場合にケムシ皮膚炎を生じます。特に市街地で多いのは、椿やサザンカなどの庭木につくチャドクガの幼虫による被害が多くなっています。ケムシの毛がつくことで、激しいかゆみを伴う赤いぶつぶつがたくさんでます。首や腕などの露出部に症状が出ることが多いです。 - その他
柿の木やバラ科の木(桜、梅など)に生息するイラガの幼虫には、毒をもつ刺毛があり、幼虫に触れると強い痛みや赤み、腫れが生じます。
これらの虫に刺されないようにするためには、虫よけスプレーを使用したり、長袖長ズボンを着用したりするなどの予防策が重要です。
虫刺されの治療
虫刺されの治療は、主にかゆみや炎症を抑えること、そして二次感染を防ぐことを目的とします。
当院では、症状に合わせて以下の治療法を行います。
塗り薬
かゆみや炎症を抑えるステロイド外用薬や、抗ヒスタミン薬を処方します。
飲み薬
かゆみが強い場合や、広範囲にわたる虫刺されには、抗ヒスタミン薬の内服薬を処方することがあります。チャドクガなどによる強いかゆみ・発疹には、ステロイドの内服を短期間処方します。
また、掻きむしって傷ができている場合は、抗菌外用薬や内服薬を併用して二次感染を防ぎます。ご自宅でのケアとしては、患部を冷やす、清潔に保つ、掻かないようにすることが大切です。
症状が改善しない場合や、水ぶくれ、強い痛み、発熱などの症状がある場合は、早めに医療機関を受診してください。
虫刺されの予防について
虫刺されを予防するには、虫に刺されないようにすることが第一です。
外出時
- 虫よけスプレーを使用する
外出前に、肌の露出部分に虫よけスプレーを塗布しましょう。特に、蚊やブヨが多い場所へ行く際は、こまめな塗り直しが必要です。 - 長袖長ズボンを着用する
肌の露出を少なくすることで、虫に刺されるリスクを減らすことができます。 - 明るい色の服を着る
蚊は黒や紺などの暗い色に寄ってきやすいと言われています。白や薄い色の服を着るようにしましょう。 - 帽子や手袋を着用する
頭や手も虫に刺されやすい部分です。帽子や手袋を着用して保護しましょう。 - 草むらや水辺に近づかない
蚊やブヨは、草むらや水辺に多く生息しています。これらの場所には近づかないようにしましょう。
日常生活
- 網戸や蚊帳を使用する
窓を開ける際は、網戸を使用したり、蚊帳を吊るしたりして、虫の侵入を防ぎましょう。 - 家の周りに水たまりを作らない
蚊は水たまりに卵を産み付けます。家の周りの水たまりをなくすことで、蚊の発生を防ぐことができます。 - ペットのノミ・ダニ予防
ペットを飼っている場合は、定期的にノミ・ダニの駆除を行いましょう。
虫刺されで腫れた場合
虫刺されで腫れた場合は、まず患部を冷やすことが大切です。
氷水を入れた袋や保冷剤をタオルで包み、患部に当てて冷やしましょう。冷やすことで、炎症やかゆみを抑えることができます。
腫れがひどい場合は、抗ヒスタミン薬やステロイド外用薬を使用することで、症状を和らげることができます。
また、掻きむしることは、症状を悪化させるだけでなく、細菌感染のリスクを高めるため、絶対に避けましょう。爪を短く切っておく、患部を冷やす、絆創膏を貼るなどの方法で、掻きむしりを予防しましょう。
特に注意が必要なケース
- 顔や首など、皮膚の薄い部分を刺された場合
腫れが強くなることがあります。 - マダニに刺された場合
ライム病などの感染症を媒介することがあります。マダニに刺されたことに気づいたら、無理に取ろうとせず、医療機関を受診してください。 - アナフィラキシーショック
呼吸困難、意識障害、じんましんなどの症状が現れた場合は、すぐに医療機関を受診してください。