
やけどについて
やけどは、熱や化学物質、電気、放射線などによって皮膚や組織が損傷を受けることです。
日常生活で起こりやすく、特にキッチンやお風呂場での発生が多いので注意が必要です。やけどの症状は、皮膚の赤みや腫れ、水ぶくれ、痛みなど、その重症度によって様々です。軽度であれば自然治癒することもありますが、重度のやけどは跡が残ったり、感染症を引き起こす可能性もあるため、適切な治療が必要です。
当院では、やけどの程度や原因に合わせて、適切な治療法をご提案いたします。傷の治癒を促進する薬や、痛みを和らげるための処置などを行い、患者さんのQOL向上を目指します。また、やけど跡を最小限に抑えるためのアドバイスや、必要があれば再診のご案内も行っています。
やけどの原因
やけどは、様々な原因によって引き起こされます。
熱によるやけど
- 熱い液体(お湯、コーヒー、インスタントラーメンなど)
- 熱い固体(アイロン、ヘアアイロン、フライパンなど)
- 火(ストーブ、ガスコンロなど)
- 蒸気(やかん、スチーマーなど)
- 高温の油(揚げ物など)
電気によるやけど
- 感電(コンセント、電化製品など)
日光によるやけど
- 紫外線(日焼け)
化学物質によるやけど
- 酸(塩酸、硫酸など)
- アルカリ(水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなど)
- 有機溶剤(シンナー、アセトンなど)
これらの原因以外にも、摩擦や低温によるやけどなど、様々な要因が考えられます。
やけどの発症は、10歳以下のお子様で頻度が高いですが、湯たんぽなどの長期接触による高齢者の方の低温熱傷、ヘアアイロンの使用で起こる女性のお顔のやけども頻度が増えています。
やけどの治療
やけどの治療法は、その深さや範囲、原因、患者の基礎疾患や年齢など全身状態によって異なります。
軽度のやけどの場合、患部を冷やし、清潔に保つことで自然に治癒することが期待できます。しかし、重度のやけどや、広範囲にわたるやけどの場合は、医療機関での治療が必要となります。
当院では、患者さんの状態に合わせて、以下の治療法を適切に組み合わせて行います。
薬物療法
- 痛みを和らげるための鎮痛剤
- 感染症予防のための抗生物質
- 傷の治癒を促進する軟膏
創傷被覆材
- 傷を保護し、治癒を促進する
- 様々な種類があり、症状に合わせて選択
外科的治療
重度のやけどの場合、皮膚移植などが必要となることも
やけどは、適切な治療を行わないと、跡が残ったり、機能障害が残る可能性があります。早期に適切な治療を受けることが重要です。
やけどの予防・日常のケアについて
やけどは、ちょっとした不注意で起こってしまうことが多いですが、日頃から予防を心がけることで、リスクを減らすことができます。
- キッチンでの注意点
コンロの火を使う際は、周囲に燃えやすいものを置かない。
鍋やフライパンの取っ手は、奥や壁側に向ける。
熱いものを扱う際は、ミトンや鍋つかみを使用する。
揚げ物をするときは、油はねに注意する。
子どもをキッチンに近づけない。 - お風呂場での注意点
お湯の温度を確認してから入浴する。
子どもをお風呂に入れる際は、目を離さない。
熱いシャワーを直接顔や体に当てない。 - その他
アイロンやヘアアイロンの使用中は、目を離さない。
ストーブやヒーターの近くに燃えやすいものを置かない。
タバコの火の不始末に注意する。
子どもにライターやマッチで遊ばせない。
日焼け止めを塗って、紫外線から肌を守る。
軽度のやけどの場合、以下のケアを心がけましょう。
- 患部を冷やす
流水で15~20分ほど冷やす。 - 清潔に保つ
水で洗い流し、清潔なガーゼなどで保護する。 - 水ぶくれはつぶさない
水ぶくれは自然に吸収されるのを待つ。 - 患部を摩擦しない
衣類などで患部をこすらないようにする。
やけどの水ぶくれについて
やけどをすると、皮膚に水ぶくれができることがあります。
これは、やけどによって損傷した皮膚の下に、体液が溜まることで発生します。水ぶくれは、細菌から傷口を守る役割を果たしていますが、破れると痛みや感染症のリスクが高まります。
水ぶくれの適切な対処法
- 基本的にはつぶさない
水ぶくれは、自然に吸収されるのを待ちましょう。無理につぶすと、細菌感染のリスクが高まります。 - 破れてしまった場合
清潔な水で洗い流し、消毒液で消毒した後、絆創膏やガーゼなどで保護しましょう。 - 大きな水ぶくれや、痛みが強い場合
医療機関を受診しましょう。医師が適切に処置を行います。
やけどの状態によっては、医療機関の受診が必要になります。
自己判断せずに、早めに皮膚科の診察を受け、適切な治療を受けるようにしましょう。