
ガングリオンについて
ガングリオンとは、関節や腱鞘(けんしょう)などにできる良性の腫瘍です。ゼリー状の内容物が詰まった袋状のものが、皮膚の下にぷっくりと膨らんで見えます。ガングリオンは手首によくできますが、足首や指、膝などにも発生することがあります。
多くの場合、痛みなどの自覚症状はありません。しかし、ガングリオンが神経を圧迫すると、痛みやしびれ、運動麻痺などの症状が出ることもあります。また、関節の動きを制限してしまう場合もあります。
ガングリオンは自然に消失することもありますが、再発することも少なくありません。気になる場合は、当院にご相談ください。
ガングリオンの原因
ガングリオンの正確な原因は、まだ完全にはわかっていません。しかし、以下のような要因が関係していると考えられています。
関節への負担
手首や指など、特定の関節を繰り返し使うことや、強い衝撃が加わることで、関節や腱鞘に負担がかかり、ガングリオンが発生しやすくなると考えられています。
関節の炎症
関節炎や腱鞘炎など、関節周辺の炎症がガングリオンの発生を促す可能性があります。
結合組織の異常
関節や腱鞘を構成する結合組織の生まれつきの弱さや、加齢による変化などが、ガングリオンの形成に関与している可能性があります。
ガングリオンは、10代から30代の女性に多く見られます。これは、女性ホルモンの影響や、家事や育児、仕事などで手首を酷使することが多いためと考えられています。
ガングリオンの治療
ガングリオンの治療法は、その大きさや症状、部位によって異なります。
経過観察
多くのガングリオンは、特に治療をしなくても自然に消失することがあります。そのため、痛みやしびれなどの症状がなく、日常生活に支障がない場合は、経過観察を選択することもあります。定期的な診察で、ガングリオンの状態を確認していきます。
穿刺吸引
ガングリオンに針を刺して、中のゼリー状の内容物を吸引する方法です。比較的簡単な処置で、痛みも少ないのが特徴です。しかし、再発率が高いというデメリットもあります。
手術
ガングリオンを切除する手術です。再発の可能性が低い治療法ですが、手術には傷跡が残る可能性や、術後の痛みや腫れなどのリスクがあります。ガングリオンが大きく、神経を圧迫して強い痛みやしびれを引き起こしている場合や、関節の動きを制限している場合、穿刺吸引をしても再発を繰り返す場合などに検討されます。
手術は、整形外科または形成外科で行うことが推奨され、手術が必要な患者さまは外科をご紹介しています。
どの治療法が適切かは、患者さんの状態や希望を考慮して決定します。当院では、患者さん一人ひとりに合った治療法を丁寧に説明し、納得いただいた上で治療を進めていきますので、ご安心ください。
ガングリオンの予防・日常のケアについて
ガングリオンを完全に予防することは難しいですが、以下の点に注意することで、発生のリスクを減らすことができます。
- 関節への負担を軽減する
同じ動作を長時間繰り返したり、重いものを持ったりする際は、こまめな休憩を挟むなどして、関節への負担を軽減しましょう。手首を使う作業をする際は、サポーターなどを着用するのも有効です。 - 関節を冷やす
関節に痛みや腫れがある場合は、冷湿布などで冷やすことで炎症を抑え、ガングリオンの発生を予防することができます。 - バランスの取れた食事
栄養バランスの取れた食事を心がけ、健康的な生活習慣を維持することで、体の免疫力を高め、ガングリオンの発生を予防することができます。
ガングリオンができてしまった場合
- 医療機関を受診する
ガングリオンが大きくなったり、痛みやしびれなどの症状が出たりする場合は、早めに医療機関を受診しましょう。 - 刺激を与えない
ガングリオンを強く押したり、揉んだりするような刺激は避けましょう。 - 患部を安静にする
ガングリオンがある部分をなるべく安静にし、過度な運動や作業は控えましょう。
ガングリオンと悪性腫瘍の見分け方
ガングリオンは良性の腫瘍なので、基本的には心配ありません。しかし、稀に悪性腫瘍と間違われることもあります。そこで、ガングリオンと悪性腫瘍の見分け方について、いくつかポイントをご紹介します。
特徴 | ガングリオン | 悪性腫瘍 |
触り心地 | 弾力があり、ぷよぷよしている | 硬い |
動き | 周りの組織と独立して動く | 周りの組織に固定されている |
痛み | ほとんどない | 痛みがあることが多い |
成長速度 | ゆっくり | 急速に大きくなる |
上記はあくまでも目安であり、自己判断は危険です。ガングリオンが疑われる場合や、気になる症状がある場合は、必ず医療機関を受診し、専門医の診察を受けるようにしましょう。