
魚の目について
魚の目は、医学的には「鶏眼(けいがん)」と呼ばれ、皮膚の一部が硬く盛り上がったり、深く芯ができた状態を指します。歩行圧迫により、激しい痛みが出ることがあります。硬くなった皮膚は、魚の目のような芯が見えるので、俗にウオノメと呼ばれます。
皮膚の一番外側の角層といわれる硬い層が、圧迫などの外的刺激から体を保護していますが、何らかの理由で同じ場所に繰り替えし圧迫刺激が加わると、角質が硬く厚く芯のようになり、皮膚の奥に向かって楔型に食い込んでいくことがあります。これがウオノメです。
足の裏や指、手のひらなど、体重がかかりやすい場所や摩擦が起こりやすい場所にできやすいのが特徴です。特に、靴がきつい、ヒールをよく履く、立ち仕事が多いなど、足に負担がかかる生活習慣をお持ちの方は注意が必要です。
魚の目は、見た目が気になるだけでなく、痛みを伴うため、日常生活に支障をきたすこともあります。初期症状に気づいたら、早めに適切なケアを行うようにしましょう。
魚の目の原因
魚の目は、皮膚への摩擦や圧迫が主な原因で発生します。
具体的には、以下のような要因が考えられます。
- 合わない靴
サイズが小さすぎる靴や、幅が狭すぎる靴、ヒールの高い靴などは、足に負担をかけ、魚の目の原因となります。 - 足の形
外反母趾や扁平足など、足の形に特徴がある方は、特定の場所に圧力がかかりやすく、魚の目ができやすい傾向があります。 - 歩き方
歩き方に癖があると、足の一部に負担が集中し、魚の目が発生することがあります。 - 立ち仕事
長時間立ち続ける仕事は、足に大きな負担をかけ、魚の目のリスクを高めます。 - スポーツ
ランニングやバスケットボールなど、足に繰り返し衝撃が加わるスポーツも、魚の目の原因となることがあります。
これらの要因によって、皮膚の角質層が厚くなり、硬くなって魚の目が形成されます。
魚の目の治療
魚の目の治療は、その大きさや症状によって異なります。
主な治療法としては、以下のものがあります。
角質除去
専用の器具や剃刀などを用いて、硬くなった角質を丁寧に除去していきます。慣れている方はご自身で削られている方もいますが、まれにウオノメと思っていたがウイルス性のうつるイボであり、削ることで治らずに悪化してから受診される場合もありますので、自己判断せず皮膚科の受診をお勧めします。
薬物療法
サリチル酸などの薬剤を患部に塗布し、角質を軟化させて除去を促します。
また、スピール膏と呼ばれるサリチル酸がついたパッドを貼って柔らかくしてから削る方法もあります。
外科的治療
魚の目が大きく、痛みや炎症が強い場合には、手術によって魚の目を切除することがあります。ただ、外科的手術をしたあとの瘢痕が、歩く際に痛みがでるなどリスクもあるため、安易に切除することは推奨されません。
整形外科的な治療
外反母趾などの足指の変形が原因となっていたり、膝の痛みなどで歩行に癖がついてしまっていることがウオノメの原因となっている場合は、整形外科での診察や治療をお勧めすることもあります。
魚の目は、自己判断で治療を行うと、悪化したり、再発したりする可能性があります。皮膚科の診察を受け、適切な治療を受けるようにしましょう。
魚の目の予防・日常のケアについて
魚の目は、日常生活での適切なケアによって予防することができます。
- 適切な靴を選ぶ
自分の足に合ったサイズと形の靴を選びましょう。特に、つま先に余裕があり、足幅が締め付けられない靴がおすすめです。ヒールを履く場合は、なるべく低いものを選び、長時間履くことは避けましょう。 - 足を清潔に保つ
毎日足を洗い、清潔に保ちましょう。石鹸をよく泡立てて優しく洗い、しっかりとすすぎます。水分が残っていると、雑菌が繁殖しやすくなるため、タオルで丁寧に拭き取りましょう。 - 保湿
入浴後や就寝前には、足に保湿クリームを塗り、乾燥を防ぎましょう。特に、かかとや指の間など、乾燥しやすい部分は念入りに保湿してください。 - 定期的な角質ケア
角質が厚くなりすぎないように、定期的に角質ケアを行いましょう。軽石や角質リムーバーなどを使用する際は、無理に削りすぎないように優しくこすり、皮膚を傷つけないように注意してください。 - 足の負担を軽減
立ち仕事や長時間の歩行など、足に負担がかかる場合は、こまめに休憩を取りましょう。また、足のマッサージやストレッチを行うことも効果的です。
これらのケアを継続することで、魚の目の発生を予防し、足の健康を維持することができます。
魚の目の初期症状
魚の目は、初期段階では自覚症状がほとんどないため、気づかないうちに進行してしまうことがあります。
しかし、以下の初期症状に注意することで、早期発見・早期治療につながります。
- 皮膚の硬化
足の裏や指などに、硬く盛り上がった部分がある。特定の場所に圧力を感じたり、触ると硬い感触がある場合は、魚の目の初期症状の可能性があります。 - 軽い痛み
患部を触ると軽い痛みや違和感がある。初期段階では、歩く時など体重がかかった時に痛みを感じる場合があります。 - 皮膚の色変化
患部の皮膚が白っぽく濁っていたり、黄色っぽく変色している。角質が厚くなり、内部に芯ができ始めているサインです。
自己判断でケアを行うと、症状を悪化させる可能性があります。少しでも気になる症状があれば、お気軽にご相談ください。