粉瘤
粉瘤とは、毛穴の一部の細胞が、皮膚の下に入り込んで袋をつくり、中にあか(古い角質がたまったもの)がたまって皮膚の下にしこりをつくるできもののことです。とてもよくある病気なので、多くの方が経験したことがあるできものになります。体のどこにでもできますが、背中、耳、足の付け根、わきの下などができやすい場所になります。
放っておくと、徐々に大きくなり、中にたまったものから臭いがでることがあります。また、こすれたことなどを原因として、炎症を起こして大きくなり痛みがでることもあります。
顔にできた場合、見た目にきになることと、大きなニキビ(せつや、のう腫性ざ瘡といいます)との鑑別が難しくなりますので、悩まれたときはぜひご相談ください。
手術方法について
当院では、「くりぬき法」または「ほぞ抜き法」という、小さな傷で粉瘤を取る方法を主に行っています。局所麻酔をして痛みを除いた後、丸形の2~5mm大(粉瘤の場所や大きさによります)のメスで切開し、粉瘤を小さな穴から袋ごと取り出します。
傷が小さくすむことで、見た目もきれいですし、術後の痛みもごくわずかになります。
3cmを超える大きな粉瘤や、何度か炎症を起こして周りと癒着している粉瘤は、くりぬき法では取り残してしまうことがあるため、しっかりとご説明の上、葉っぱ型に切開する方法で手術することもありますので、くりぬき法の適応になるかどうか、ご相談ください。
ほくろ
ほくろは、「色素性母斑」または「母斑細胞母斑」とよばれます。母斑細胞という、メラニンを作る細胞が増殖しておこります。年齢とともに、濃く、大きく、盛り上がるなどの変化がおきますが、これらの変化が悪性化というわけではありません。
ほくろのほとんどが、良性ですが、まれに、皮膚のがんである「悪性黒色腫」や、「基底細胞癌」という病気が混ざっていることがあります。そのため、当院では、すべてのほくろ・できものをダーモスコピーで確認し、悪性の疑いのあるものは、必ず病理検査で確定診断をつけるようにしています。
そのほかにも、大きくて視野に入るほくろや、引っかかってたびたび出血するなど日常生活に支障のあるほくろは保険適用になる場合がありますので、一度ご相談ください。
ほくろの切除方法
ほくろを取り除く方法には、大きく分けて2種類あります。
ほくろを切って取り除き縫い合わせる切除縫合手術と、炭酸ガスレーザーで取り除く方法です。
大きなほくろは、炭酸ガスレーザーでとるとそのままの大きさで傷跡がある程度残ってしまうため、葉っぱの形に切開して縫い合わせて一本の線のお傷にした方がきれいな場合が多いです。また、ほくろでも、深い層にある「青色母斑」などは、レーザーで取り除くと深いクレーターになることがることと、青色母斑の中にはまれに悪性のケースがあるため、必ずレーザーではなくしっかり取り除く切除手術を行います。
切除する方法のデメリットとして、ほくろのもともとのサイズより、傷の長さが長くなることが挙げられます。
一方炭酸ガスレーザーのメリットは、ほぼもとのほくろと同じサイズで取り除くことができるので、小さなほくろでは非常にきれいに仕上がります。また、短時間で終わるため負担が少なく済みます。
どちらの方法がお悩みのほくろに合った取り方か、ぜひ診察でご相談ください。
陥入爪
陥入爪とは、爪の側縁が皮膚に食い込んで痛みがでたり、細菌感染を起こしやすい状態です。長く続くと、肉芽がでて治りづらくなります。痛みを除こうと爪を深く切り込むことにより、さらに悪化するため、当院では、テーピング治療、綿花の挿入などの保存的治療に加えて、手術も行っております。
陥入爪の手術は、保険適用になります。
ガター法
食い込んでいる爪と皮膚の間に柔らかいチューブを挿入して縫い付けます。爪が食い込むのを防ぐため、痛みがとれ、炎症を抑えます。爪の食い込んでいた部分が伸びてくるまで、1か月半ほどチューブを置いておくことが多いです。
フェノール法
陥入爪を繰り返しており、もともとの爪の幅が指に対して広い場合、ガター法や保存的治療では再発することが多いため、爪の幅を狭くする手術になります。爪の端を部分的に抜爪したのち、爪母という爪を作る組織を腐食させてその部分の爪が生えないように処理する方法です。フェノール法は、何年か後に爪が曲がって生えるなどの報告もありますが、実際、痛みをとるためには行わなければいけないケースもあり、しっかりとご説明したうえで、必要な場合にのみ行います。
眼瞼黄色腫
脂質異常症を背景に、皮膚に黄色がかった皮疹やしこりを生じる病気を黄色腫といい、とくにまぶたにできるものを眼瞼黄色腫といいます。
上の瞼の内側にできることが多く、整容的に気になる場合は切除して取り除きます。
コレステロールが高い場合と、正常な場合があります。コレステロールが高い場合は、内科で飲み薬の治療や食事療法を行いますが、しこりになったものは取り除く方法が勧められます。
当院では、眼瞼黄色腫の切除手術を行います。炭酸ガスレーザーで削る治療もありますが、完全にはとれず比較的早く再発することや、傷跡が目立つことから、当院では切除して、きれいに縫合する方法で手術を行います。
手術は保険適用になります。
いぼ
脂漏性角化症
(しろうせいかっかしょう)
老人性イボとも呼ばれます。年齢とともに増え、80歳以降ではほぼすべての人にあるといわれる、非常によくあるできものです。茶色くカサカサした、境界のはっきりとしたできもので、時間の経過とともに盛り上がったり広がったりします。拡大鏡で診察し、悪性の疑いがないことを確認してから治療を行います。当院では、頭皮にできたものは液体窒素で治療します。お顔や首、体にできた老人性イボは、液体窒素をあてると色素沈着が起きることが多いため、整容的に炭酸ガスレーザーでの除去をおすすめしています。炭酸ガスレーザーによるイボの治療は自費治療となります。
稗粒腫(はいりゅうしゅ)
毛穴に角質がたまってできる、白くツルっとしたぶつぶつです。目の周りや頬にできることが多く、中年以降の方にできますが、こするとできやすいので、目を良く搔いてしまう場合、お子様にもできることがあります。当院では、炭酸ガスレーザーによる治療をお勧めしています。針で穴をあけ、ピンセットで押し出す方法でも可能ですが、再発しやすいため、しっかり治療したい場合はレーザーをお勧めします。稗粒腫の治療は自費になります。
汗管腫(かんかしゅ)
直径1~3mm程度の、皮膚と同じ色をしたぶつぶつです。下のまぶたによくできます。思春期ごろから目立ってくることが多いです。汗を分泌する管が拡張して起こります。見た目が気になる場合は、炭酸ガスレーザーで削って平らにします。汗の管なので、再発しやすいのですが、再発しないようにと削りすぎると傷跡がのこりますので、丁寧に注意しながらレーザーを行います。当院では、レーザー後の再発は術後6か月間の保証期間を設けており、保証期間内の再発は無料で追加のレーザーを行っています。再発しないようにと削りすぎは禁物になりますので、しっかりご説明したうえで施術させていただきます。汗管腫の治療は自費治療となります。
脂腺増殖症
脂腺増殖症は、中年から高齢者の顔によくみられる、黄色から白っぽいぶつぶつです。中央がへこんでいることが多いです。脂腺の拡張によるもので、放っておいても問題はありませんが、見た目が気になる場合は、炭酸ガスレーザーによる治療を行います。脂腺を取りきるために削りすぎると凹みが残り、浅く削りすぎると再発するため、丁寧に深さを確認しながら行ってきます。脂腺増殖症の治療は自費治療となります。
首イボ
(スキンタッグ、アクロコルドン)
首にできる1~2mmの小さな盛り上がったイボです。首だけではなく、わきの下や足の付け根など擦れるところに多くできます。こすれることや、紫外線の影響による皮膚の加齢性変化になります。うつるイボではないため、急いでとる必要はありませんが、見た目が気になる場合は、当院は炭酸ガスレーザーでの切除を行っています。液体窒素をあてると、少し広めに色素沈着が残ってしまうため、よく目につくお首のイボは特に、レーザー1回できれいにとることをお勧めしています。首イボの治療は自費治療となります。
老人性血管腫
(ルビースポット、チェリースポット)
1~5mm大のつやのある赤いできものです。血管が増殖してできる良性の小腫瘍です。上半身や腕、顔面など様々な場所にでき、年齢とともに数が増えることが多いです。中高年に多いですが、10~20歳代でもできることがあります。当院では、炭酸ガスレーザーで血管腫を削り取ってしまいます。老人性血管腫の治療は自費治療になります。
尋常性疣贅
【炭酸ガスレーザーによるイボの切除(自費治療になります)】
当院では、炭酸ガスレーザーによるイボの切除手術を行います。小さいものは液体窒素治療などで短期間にとることができますが、特に足裏にできたイボは、目につかず痛みがないことも多いため、深く大きくなっていることも多く、液体窒素では何十回と通院を繰り返す必要があるケースも多くなります。途中で忙しくなり治療を中断してしまうと、またイボが大きくなり、液体窒素をあてる回数が増えるという、なんとも厄介な状態になります。
当院では、難治性のイボに対する炭酸ガスレーザー治療を行っています。麻酔をしたうえで、イボ自体にレーザーを当てないように注意しながら、一回りイボより大きくくりぬきはがしていく方法で、イボ剥ぎ法とも呼ばれます。メスで行う場合もありますが、当院では、出血を最小限にするために、レーザーで止血しながらはがしていく方法を取っています。イボにレーザーを当てないことで、無駄なイボの広がりを予防します。
イボの大きさによりお値段が変わりますので、料金表または診察でご相談ください。
治療は短期間、少ない回数でできますが、レーザー後1~2週間は痛みが続くなど注意点もありますので、一度診察でご相談ください。