「イボ」がとりたい!
「イボの種類」
皮膚科で多いお悩みに、「イボをとりたい」というものがあります。
「イボ」にはどのような種類があるのでしょうか。
①ウイルス性のイボ
②老人性、紫外線の影響など加齢に伴うイボ
③ふくらみのあるほくろや、軟性線維腫などの良性皮膚腫瘍
④お子さんの水いぼ
これらをまとめて、俗に「イボ」と呼ばれることが多いです。④の水いぼもウイルス性ですが、治療法が特殊なので、項目を分けています。
当院での治療をそれぞれご説明していきます。
①ウイルス性のイボ
尋常性疣贅、青年性扁平疣贅などが主になります。
まれなものでは、尖圭コンジローマ、Bowen様丘疹症などもありますが、頻度としては、尋常性疣贅、青年性扁平疣贅が圧倒的に多いです。
尋常性疣贅
HPVウイルス感染によります。
手指や足によくできます。
小児に多いですが、大人の方でもできることがあり、また小児期に罹患していたものが治りきっていない場合もあります。
主に、人から人へ直接接触して感染しますが、プールやジム、温泉等での間接的な感染も起こりえます。正常な皮膚には感染しづらいですが、細かな傷があると感染しやすくなります。
*当院での治療方法
・液体窒素;クライオスプレーというスプレーを用いた液体窒素治療が第一選択です。
厚みのあるイボには、液体窒素をあてる前にしっかり厚みを削ってから液体窒素をあてています。
液体窒素をあてて冷凍凝固させる治療で、単純な治療方法ではありますが、安全で効果が安定しているので、皮膚科学会による尋常性疣贅の治療ガイドラインでも推奨度が最も高い治療になります。
とはいえ、液体窒素治療は痛みを伴い、あまり強く行うと大きな水ぶくれを作って
痛みが長く続くなどのリスクもあります。
特にお子さんでは、治療自体が怖くて通院できなくなってしまうこともよくあります。
当院では、液体窒素の当て方を工夫し、できるだけ完治まで通院していただくことを目標としています。
例えば小学生のお子さんであれば、体育や習い事のスポーツなどに支障が出ない強さで液体窒素をあて、後述する塗り薬を併用します。
長期休みなどの前には、少し頑張って強めにあてるなど、本人とご家族とコミュニケーションを取りながらあてるようにしています。
逆に、大人の方で、何回も通院できないのでしっかり当ててほしいと言われる場合には、あまり水泡が大きくできない程度に強く当てています。
もちろん、水ぶくれや血豆が出来たほうが治りは早いのですが、足裏や手の指に水ぶくれができてしまうと日常生活に支障がでるため、適度な匙加減が必要と考えています。
治療の際は、遠慮なく、「早く治したいのでしっかり!」「痛みに弱いので弱くあてて」など、リクエストしてくださいね。
・モノクロロ酢酸
モノクロロ酢酸という液体の塗布を、大きめのイボの場合は行っています。
液体窒素をあてたあとにイボに塗布し、ほかの正常な皮膚につかないように絆創膏で保護します。
モノクロロ酢酸とは強い酸の液体で、組織を腐食させてイボを治療します。
ガイドライン上も推奨のある治療です。
多量に塗布してしまうと、強い痛みが出る可能性があるため、当院ではあくまで液体窒素治療の補助として少量の塗布、
または、痛みで液体窒素治療ができないお子様には、塗り薬単独で治療をしています。
痛みがどうしてもご不安な方は、ご相談ください。モノクロロ酢酸やサリチル酸ワセリンの塗り薬など、
痛みのない治療で治していくことも可能です。
・炭酸ガスレーザー(保険適応外)
ほくろやイボなど、厚みのあるものを削りとるレーザーです。
当院では、厚生労働省の認可を受けた炭酸ガスレーザーを使用しております。
ウイルス性のイボは、液体窒素で取れることが多いのですが、足裏の深い大きなイボなどは液体窒素をあてに何か月も通院が必要となることもあります。
そのため、ご希望があれば炭酸ガスレーザーでの治療を行います。
レーザーでイボをとるメリットとして、治療期間の大幅な短縮があります。
ウイルスなので、どうしても再発することはありますが、サイズは縮小しますので、治療期間は短くなりますし、イボのサイズによっては1回で取りきることも可能です。
デメリットとしてはレーザー後の痛みがあります。
麻酔をしますので、手術中は痛くありませんが、イボをしっかり取りますので、術後はある程度深い傷ができます。
そのため、日常生活には問題ありませんが、スポーツなど走ったり、長時間の立ち仕事などは2週間程度できにくくなります。
もう一つ、レーザー治療のデメリットとして、費用があります。
イボのレーザー治療は保険適応ではないので、自費診療となり、大きさに合わせて費用がかかります。イボの大きさによって料金が決まりますので、ご希望がありましたら、ご相談ください。
②老人性、紫外線の影響など加齢に伴うイボ
代表的なものが、脂漏性角化症(しろうせいかくかしょう)という老人性のイボです。
全身ほぼどこでもできますが、手のひらや足の裏にはできないという特徴があります。
必ずしも治療が必要なものではありませんが、ごくまれに、皮膚の癌との区別が必要となることがあります。
また短期間に急激に増加する場合は内臓悪性腫瘍が存在するケースもありますので、
ご心配な際は診察に来ていただければと思います。
悪いものではなくても、見た目が気になる場合や、かゆみを伴う場合は治療を行います。
*当院の治療方法
・液体窒素療法
体や頭皮など、目立ちにくい場所であれば、液体窒素による治療が手軽です。
ウイルス性のイボと同じように、液体窒素を何度かあてて取り除きます。
メリットとしては、保険適応の治療のため、費用を抑えられます。
デメリットとしては、あてたところが炎症後色素沈着というくすみ・シミを生じることがあります。また、治療に複数回かかることがあり、通院の手間がかかります。
・炭酸ガスレーザー(保険適応外)
当院では、お顔や首などの見える範囲では、レーザーをおすすめしています。
どうしても、液体窒素をあてるとイボの範囲以上にも炎症が及び、大きめの色素沈着を作ってしまうことが多いため、お顔や首など、見た目を美しくするためにイボを取る場合は、よりきれいに取れる方法をご提案しています。
あとはあまり気にしない、という方には、もちろん液体窒素による治療も行っています。
大きいものは麻酔の注射をして、小さいものは冷やしてレーザーをあてます。
麻酔の注射は、歯医者さんの麻酔と同じなので、あまり数が多いと麻酔の注射が痛いので、冷やして行うことが多いです。
レーザーで取るメリットは、
1回でとれること
炎症後色素沈着が起こりにくいこと
デメリットは、
保険適応の治療ではないので、自費の費用が掛かる点です。
顔や首のイボは、多発することがありますので、当院では、お顔・首のイボすべて取る取り放題!という料金もありますので、
たくさんあって悩まれている方も、ぜひ一度ご相談ください。
https://hanako-skin.com/price/
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膨らみのあるほくろや、軟性線維腫などの皮膚腫瘍
症状のあるほくろや、大きなイボは、保険適応の手術で取り除くことができる場合があります。
・引っかかって出血する
・急に大きくなったので悪性かどうか心配
などの症状がある場合はご相談ください。
保険適応での手術となった場合、かかる費用は、できものの場所や大きさによりますが、3割負担の保険の方で、1万円代となります。
手術の方法は大きく分けて2通りです。
*炭酸ガスレーザー
*メスで切除し、縫合する
保険適応の場合、どちらの方法でも料金は変わりません。
レーザーの適応となるか、切除縫合になるかは、イボの大きさや場所によって決まりますので、ぜひ診察でご相談ください。
手術で切除したできものは、必ず病理検査に提出します。病理検査では、とったものの組織を顕微鏡で調べ、悪性の組織がないかどうか確認します。
日常生活に支障があるできものや、悪性かどうか心配なできものは、ぜひ一度ご相談くださいね。
・水いぼ
こどもに多い、表面がつるっとしたイボです。伝染性軟属腫ウイルスによる感染症です。夏に発症することが多いです。
おなかや背中、腕、足、顔など、あらゆるところにできます。中心が少しへこんだ、ドーム状の5ミリ以内のイボです。軽いかゆみを感じることがあるので、掻いてしまうと周囲にイボの内容物がついてしまい、増えていきます。
*水いぼの予防方法
・保湿をして、傷や乾燥を防ぎ、肌を健康に保つ
・タオルや衣服を共有しない
・プールのあとは、シャワーでしっかり体を洗う
上記対策も効果的ですので、参考にしてください。
*当院の治療方法
・経過観察
水いぼは、何もしなくても6~9か月程度で自然に治癒してしまいます。何もせずに、保湿をしていただければ、自然に治っていくことがほとんどです。
・ピンセットによる摘除
何もしなくてもよくなりますが、個人差があり、掻いてしまったり擦れる場所にあったりして、たくさん増えてしまうことがあります。また、お顔にできている場合は、見た目も心配になります。
また、学校や保育園、スイミングスクールなどで、水いぼがあったら取ってきてくださいという指導が行われる場合もあるようです。
ご相談の上、水いぼ鑷子というピンセットで摘まんで取る治療も行います。
あらかじめ、痛みを抑える麻酔のテープをご案内していますので、様子を見たほうが良いか、取ったほうが良いかなど悩まれた場合は診察でご相談ください。
以上、イボについてまとめてみました。
涼しくなって、お首元を隠せる季節になってきました。この機会に、ぜひ気になる「イボ」、ご相談くださいね。
花小金井駅前スキンクリニック
新井雅子