粉瘤の治療について
- 2022年1月30日
- 日常のお悩み
粉瘤って放っておいてもよいの?
粉瘤という名前は、ご存じの方も多いと思います。
ほくろに次いで、皮膚科でご相談の多い皮膚のできものです。
粉瘤とは、体中(頭から足の裏まで!)どこにでもできる皮膚の下のしこりです。
特にお顔、耳の裏、わき、背中、足のつけ根、おしりなどによくできます。
普段は痛みがなく、しこりを触れるのみですが、時々粉瘤の入り口(臍といいます)から、内容物が浸みだして臭いがでることがあります。
ここで気を付けていただきたいのですが、
気になって自分でもしくは、ご家族に絞ってもらって小さくしている患者様がたまにいらっしゃいます。
しかし、粉瘤をいじっていると炎症を起こして痛みがでるきっかけになったり、
粉瘤が癒着(ゆちゃく)して、後述するくりぬき法では手術しづらくなるため、あまり頑張って絞らずにいただくことをお勧めします。
こすれや圧迫などの刺激により炎症を起こすと、痛みや腫れがでて辛い状態になってしまいます。
粉瘤は小さいうちに手術でとるのが一番の治療方法です!
粉瘤は、炎症がない時に手術をするのが1番良い治療です。
腫れや痛みがでたときに、がまんして放っておくと、何事もなかったように小さくなってしまうこともありますが、
袋が残っていれば、いずれまた大きくなり炎症を起こす可能性があります。
基本的には垢のたまった袋なので、置いておくと剥がれた角質(垢)がたまり、大きくなっていきます。
粉瘤が小さいうちに取るメリット
①傷が小さく済む
粉瘤が大きくなると、丸形のメスでとる低侵襲の手術ができなくなり、大きめに切開する必要がでるため、手術の傷跡が大きくなります。
②痛みを繰り返さない
痛くなって、腫れや、潰れてしまうことを繰り返すのは辛いことです。受験や旅行などの大事な用事があるときに腫れてしまったらたいへんです。
大事に粉瘤を置いておく必要はありません。
粉瘤の手術方法
くりぬき法(ほぞ抜き法)を主に行います。
局所麻酔の注射をして痛みをとった後、
2〜5ミリの丸形のメスで切開し、袋ごと粉瘤を取り除きます。
傷が最小で済む方法で、術後の痛みもわずかです。
炎症があり、腫れや痛みがあるときは、抗生物質の飲み薬を処方することもありますが、
できれば早めに切開して、炎症の原因である異物(粉瘤の袋や角質成分、膿など)を取り除くことをお勧めします。
粉瘤が炎症を起こす原因は、細菌感染が原因であることは少なく、
こすれや圧迫で粉瘤に傷がつき、粉瘤の内容物が皮膚の下で漏れ出し、そこに異物反応を起こして炎症が起こることが多いといわれています。
そのため、抗生物質を飲むだけでは炎症が収まらず、破裂してしまったり痛みが長く続いたりすることが多いのです。
当院では、患者様に痛みがある場合は、手術ができない事情があればご相談の上、内服を処方して様子を見させていただきますが、
できるだけ当日切開と、排膿処置を行い速やかに痛みを取り除く処置をさせていただきます。
くりぬき法(ほぞ抜き法)ができない場合もあります。
粉瘤が3センチを超える大きさであったり、今までに腫れを繰り返して癒着が予想される場合は、ほぞ抜き法ではなく、葉っぱ状に切開する方法で、より確実に取り残しがないように切除する場合もあります。
傷が大きくなってしまいますが、しっかりと確実にとるために、必要であればメスで切開する場合もありますので、ご理解ください。
痛みや不安のない手術
患者様が「手術」に対して考えるイメージである、
「痛い」
「術後の手当や通院が大変そう」
「傷跡が残るのでは」
といったご心配には、
低侵襲手術を日帰りで行うことにより、最小限の負担で解決できるようにさせていただきますので、ぜひお気軽にご相談ください。
ただ、しこりといっても粉瘤だけではなく、脂肪種、石灰化上皮腫、皮膚線維種などいろいろなしこりがあります。
粉瘤ではなく、放っておいては良くないもの、種類によっては整形外科や形成外科への相談が必要となるできものもあります。
自己判断で不安を抱えることなく、ぜひ一度診察で拝見させてください。
花小金井駅前スキンクリニック(HSC)
院長 新井雅子